ゴスペルらしさと自分らしさ

コラム

ゴスペルを歌う上で、「ゴスペルらしさ」と「自分らしさ」を両方表現することは、とても重要なポイントです。現在日本で一線で活躍しているゴスペル・アーティストのほとんどが、めちゃくちゃ歌は上手いのですがどうも声が薄っぺらくて、その点が惜しまれます。

ゴスペルらしさを追及するためには、やはり好きなシンガーを一人、もしくは数人決めて、鼻をすする音まで完璧にコピーするのが良いと思います。多くのゴスペル講師は「物まね」を良しとはしませんが、僕はそうは思いません。

なぜなら「黒人音楽」というものは伝統芸であり、日本の伝統芸能である歌舞伎などと同じように「型」があるからです。僕はアメリカで学んだ時に、若い人たちが先輩である恒例のアーティストから一生懸命学ぶ姿勢をみてびっくりしました。

黒人音楽の世界は、「型」がわかっていない人が出てこれる隙間などはほぼ無いに等しいです。ちゃんと自分たちの祖先や先輩が守り通した「黒人文化」を理解し学び実践したものだけがメイン・ストリームで活躍できるのです。

最近、博多にも全国的に流行っている「ゴスペルごっこ」みたいなサークルが出来ました。ウェブサイトが強いというだけで多くの人が通っていますが、本当に講師はちゃんと勉強してからやってほしいと思います。薄っぺらすぎて話になりません。

まこんなところで愚痴っても仕方ないので、うちのブログではゴスペルの魅力を保ちながら、自分の声や感情、個性を込めることで、より深くリスナーに届くパフォーマンスを実現するために学ぶべき具体的な要素を紹介しますね!

1. ゴスペルの基礎テクニックを学ぶ

ゴスペルの特徴的なテクニックを理解し、それをベースに自分の表現を構築していくことが重要です。まずは以下のテクニックを学んでみましょう:

  • コール&レスポンス: ゴスペルでは、リーダーが歌い、それに対してコーラスが応答する「コール&レスポンス」という形式がよく使われます。このリズム感やタイミングを体得することで、ゴスペルらしいダイナミズムを表現できます。
  • リフとラン: ゴスペルシンガーは、メロディラインに装飾的な音(リフやラン)を加えることが多いです。これにより、曲に感情の高まりをつけることができます。例えば、アーティストのヨランダ・アダムスやキリ・シェードもこうしたテクニックを多用します。
  • ダイナミクスのコントロール: 声の強弱やテンションのコントロールも、ゴスペルらしさを表現する重要な要素です。特に「ソフトに始めて、クライマックスで力強く歌う」といったパターンは、ゴスペルでよく見られます。

これらのテクニックを学ぶことで、ゴスペルの「型」を自分の中に取り入れることができます。

2. 自分の声と感情を大切にする

ゴスペルは魂を込めて歌うことが本質的です。自分の経験や信仰、感情を反映させて、オリジナリティを引き出すことが大切です。

  • 感情表現: ゴスペルは単なるテクニックではなく、内面の信仰やメッセージを込めて歌うことが求められます。歌詞の意味を深く理解し、それがあなたにどう響くのかを考えましょう。自分の人生経験や信仰心を込めて、歌詞を表現すると、自然と「自分らしさ」が現れます。
  • 即興性: ゴスペルでは、自由に即興で歌う部分も多いです。メロディに自分のアレンジを加えたり、感情に従って声を変化させたりすることで、個性が輝きます。練習中に自分の声を実験し、どのような音やフレーズが自分らしいと感じるかを探ってみましょう。

3. 他のシンガーのスタイルを学び、自分のスタイルを確立する

自分のスタイルを作るためには、様々なゴスペルシンガーを研究することも重要です。彼らの声の特徴や表現の仕方を学びながら、自分に合った要素を取り入れてみましょう。

  • ヨランダ・アダムス (Yolanda Adams): 彼女の透き通った力強い声は、ゴスペルの真髄を感じさせます。彼女の歌唱を聴くと、歌詞に込めた感情がどのように表現されているかが学べます。
  • カーク・フランクリン (Kirk Franklin): 彼は合唱とリーダーシップを組み合わせ、エネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げるシンガーです。彼の曲はリズム感が強く、ダンスや身体的表現も特徴的です。
  • キキ・シェアード (Kierra Sheard): 彼女は伝説のゴスペル・グループ「クラーク・シスターズ」のカレン・クラーク・シェアードの娘ですので小さなころから教会で伝統的なゴスペルを歌い学んでいます。しかもそのうえで若い世代のゴスペルシンガーとして、モダンなアレンジをゴスペルに取り入れています。R&Bやポップの要素も多く、ゴスペルに現代の「自分らしさ」を反映させたアーティストです。

それぞれのシンガーのスタイルを吸収しつつ、自分に合った音や表現を見つけることが大切です。

4. ゴスペルの歴史と文化を理解する

ゴスペルはアフリカ系アメリカ人の歴史や信仰と深く結びついています。その背景を理解することで、より深い感情を込めて歌えるようになります。例えば、黒人霊歌や労働歌からの影響を学ぶと、ゴスペルの魂やメッセージがより一層理解できます。

黒人霊歌の起源

黒人霊歌からジュビリーへ

5. 定期的なボイストレーニングで技術を磨く

最後に、テクニックや声を安定させるために定期的なボイストレーニングを行いましょう。呼吸法や発声練習、声域を広げるためのエクササイズは、感情表現の幅を広げるのに役立ちます。

まとめ

「ゴスペルらしさ」と「自分らしさ」を同時に表現するためには、まずゴスペルの基本をしっかり学び、それを土台にして自分の感情や個性を大切にすることが必要です。自分自身の声を信じ、他のシンガーからインスピレーションを得ながら、あなたならではのスタイルを確立していってください!